単身赴任の終わりが近づいて、送別会やら飲み会やらが増えてきました。
先日、有志の飲み会に声をかけてもらいました。ありがたい話です。でも正直に言うと、ああいう場は相変わらず苦手でした。会社の人間関係の話、知らない人の噂、誰がどこに異動した。情報としては興味深いものもあったけど、自分から追いかけたいとは思わなかった。
職場の送別会もありました。私ももうすぐ去る身ですが、複雑な人事異動が絡む中での宴席。案の定、一次会が終わった後の空気は「残った人たちの愚痴大会」になりそうな気配がプンプン漂っていました。
私は、一次会が終わった瞬間に、サッとその場を後にしました。
若い頃なら、空気を読んで二次会にも付き合い、一緒になって会社の不満を肴に酒を飲んでいたかもしれません。でも今の私には、それが「自分のエネルギーと時間の最大の無駄遣い」だとハッキリわかる。次の本部長がどうだとか、誰が昇進したとか、そんなマウント合戦の土俵からは一歩下がって、「のらりくらり」と気配を消す。「付き合いが悪い」と思われても構いません。それが、心をすり減らさないための、私なりの処世術だからです。
会社のしがらみから一歩引くと、面白いことにお金の使い方も研ぎ澄まされてきます。
例えば、出張時のホテル代。東京のビジネスホテルは今、インバウンドの影響でアホみたいに高騰しています。会社の宿泊規定額では収まらず、自腹を切ってまで狭いベッドで寝ているサラリーマンも多いでしょう。
しかし、私は違います。あえて「サウナ付きカプセルホテル」を選びます。
世間は「カプセルなんて」と下に見るかもしれませんが、極上のサウナと水風呂があり、足を伸ばして爆睡できれば、私にとってはビジネスホテルよりもずっと価値のある天国です。そして何より、規定額との差額が浮く。高い金を出して見栄を張るのではなく、自分が本当に心地よいものを知っていれば、ルールの中でしたたかに得をすることができる。この浮いた差額で美味いものを食う。これ以上の贅沢な「錬金術」はありません(笑)。
普段は300円足らずの自作弁当で徹底的に「固定費」を抑え、会社の愚痴飲み会からは逃げる私ですが、決してケチになったわけではありません。
先日、利害関係の全くない、昔からの友人と久しぶりに東京で晩ご飯を食べました。積もる話は尽きず、4時間があっという間。話し足りずにふらりと入った銀座の喫茶店。そこで頼んだコーヒーとケーキのセットは、なんと2,400円もしました。
普段の弁当8回分です(笑)。
でも、私はこの2,400円を、心から笑って、喜んで支払いました。会社の飲み代は1円でも惜しい。でも、自分の魂が喜ぶ友人との時間には、コツコツ貯めた「ごちそう貯金」を惜しみなく使う。見栄やしがらみにお金を使うのをやめて、自分の「本当の価値基準」でお金を使う。
結局のところ、単身赴任の6年間で私が学んだのは、弁当も、人間関係も、お金も、仕組みは同じやということです。
毎朝の弁当作りで気づいたことがあります。「映えるもの」を目指すと続かない。「旨いもの」を目指しても続かない。「今日も出来た」を目指すと、なぜか続く。
人間関係もおんなじです。「広い人脈」を目指すと疲れる。「深い関係」を目指すとしんどい。「会いたい人にだけ会う」を決めると、なぜか楽になる。
いよいよ単身赴任生活も、片手で数えるほどの日数となりました。引っ越しの段ボールを詰めながら、モノだけでなく「人間関係」や「お金の使い方」についても、断捨離と整理が進んでいます。
空っぽになっていく部屋の中ですが、私の心と財布は、豊かに満たされています。
60歳の人間関係は、弁当と同じでええ。映えんでも、折れんかったらそれでええ。


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